葛根湯が売れない漢方薬店

 年末に店内全ての在庫を数えておりましたら、「葛根湯」の在庫が減っていないことに気づきました。つまりタイトルの『葛根湯が売れない漢方薬店』とは、当店のことです。

 葛根湯と言えば風邪の漢方として一般にも認知されていますから、特にこの風邪の季節は大活躍かと思いきや、当店ではそういうことはありません。

 

 そもそも、他のドラッグストアに陳列されている葛根湯の箱には「かぜのひき始めに」と書かれている通り、ひき始めに使うものです。しかし当店に初めて風邪で相談に来られる方は、既にだいぶ拗らせてしまってからの人が大半なので、出す機会がありません。 

「病院行って5日分の薬もらって飲んだんだけど、まだ治らないんだよ~」

「10日以上経つからもうとっくに治ったはずなんだけど、体調が元に戻らないの」

そういった人に葛根湯をお出しするのは、全くの誤薬です。

 

 それにもし、風邪のひき始めであっても、葛根湯ではなく「ホノピレチン」を服用していた方が安全で、尚且つ効き目も確かです。

 「葛根湯」や「麻黄湯」といった麻黄(エフェドリン)を使った丈夫な人向きの漢方薬は、普段から交感神経を緊張させて毎日生活している人が風邪症状を呈した時(つまり副交感神経緊張の状態にある時)に、交感神経を緊張させ、いわばショック療法でバランスをとり治るきっかけをつくるので、1~2回の服用で快復することができるのです。

 ここで勘違いしてはいけないのは、「葛根湯や麻黄湯を飲んだら、すぐに良くなった」という人が身近にいても、それは治癒力の旺盛な人が服用するから治癒が早いだけであって、誰もが良い結果になるとは限りません。特に貧血の人、胃腸の弱い人、疲れやすい人などは、悪い結果を招きますので注意です。

 又、長引いてしまうような方は、治癒力が弱いか、もしくは日頃無理をしている人です。丈夫な人で尚且つ休める人は、病院に行かなくても、薬を飲んでも飲まなくても、インフルエンザであっても、すぐに治ってしまいますから。

 

 ちなみに、身体の丈夫さは血液をつくる量に比例します。何でもたくさん食べることが出来て、夜パタンとぐっすり眠れるのは丈夫な人です。なぜなら血液の材料は食べ物です。そして、血液は寝ている間にたくさん作られます。僕のように子供の頃から少食でガリガリタイプは、立っているとすぐフラッとしてましたし、風邪もよくひいていました。

 

  では、丈夫な人が病気にならないのかというと、そうではありません。健康を維持するには血液の量だけではなく「質」が大きく関係するからです。子供の頃に病気をしていなくても、以降の生活で内臓に無理をさせたり腸を汚してしまうと、血液の質が落ち、巡りも悪くなり、やがて丈夫だった人でも病気となります。

 

 日頃から血液の質や流れを意識し、自然治癒力を高めていきましょう。そしていざ病気になってしまった時は、胃腸を整えゆっくりお休みになり、質の良い血液をたくさん増やすことを心掛けましょう。